「舌の味覚地図」を否定した

日本で初めて日本大学
医学部附属板橋病院・耳鼻咽喉科に「味覚外
来」を開設した冨田寛氏は、舌の部位により
四基本味覚の感受性に差があるとする「舌
の味覚地図」を否定した。

そして、結論として「舌においては、味を感受する味蕾の多いところが、すべての味覚に対して敏感であ
る」と書いている(「日本人の味覚障害」、買物
の科学 遺伝』一九九六年五月号)。

なるほど、こう考えたほうが実感に近い。
 さて、味膏で感じとられた味覚は、味蕾の
坤にある味細胞から神経を経て脳へ伝えら
れて味を区別する。脳の中では、その味覚情
報とともに、過去の体験による快・不快、食
べるか食べないかという行為も含めて、す
べての生体反応が行なわれる。人間の味覚
感知、食行動は、こうしたシステムで展開さ
れているのだ。